「一生もの」を「一生もの」にできる人・できない人

ものを買うとき、お店の人が「これはお値段は少し高いけれど、一生ものですよ。だから長い目で見たら、お買い得ですよ」みたいなことを言うことってないですか?

それを聞いて、「うんうん、一生ものでこの値段なら安いよね」そして「そんな一生ものを長く使うわたし=すてき(←妄想)」と、浮かれて買ったはいいけれど、とてもじゃないけど一生は使えなかった……ということが、わたしはこれまで、よくありました。

理由は、セールストークの言外の部分を汲み取っていなかったからです。お店の人が「一生もの」と言う時には、たいてい「大切に扱えば」という条件があるということを、かなり大きくなってから知りました。

たとえば、

  • 一生ものの靴:連日履かない。履いたらブラッシングして陰干し。ときどきクリームを塗って保湿。かかと部分は定期的に交換。
  • 一生もののセーター:連日着ない。着たらブラッシングして陰干し。なるべく洗濯しない。ときどきスチームをかけてふっくらと。
  • 一生ものの鍋:空焚き禁止。中火で使用。使ったらすぐ洗う。ときどき磨いてピカピカに。
  • 一生ものの家具(オイルフィニッシュ):濡れたグラスや熱い鍋をそのまま置かない。ときどきオイルメンテナンスして乾燥を防ぐ。

みたいな。

常識といえば常識ですが、いずれも一生(くらい長く)使うには、ものに対してそれなりの敬意を払って、手をかけてあげないと長持ちすることはなく、単なる高価な使い捨て商品……になっちゃうんですね。しんみり。

最近はちょっと大人になったので、「一生ものですよ」みたいな言葉を耳にしても、細い目になって聞いています。”一生もの”の対価として、どれほどの手間暇を支払わなければいけないのかと、頭の中で考えているからです(世知辛い)。

身の回りのものを、大事に使えば一生使える上質なものばかりにできれば、それはそれは地球に優しいことでしょう(お財布には優しくなさそうですが)。上質なものばかりに囲まれて暮らすなんて、妄想するだけですてき。憧れる。

でも、きっとわたしには無理なんだと思います。身の回りのものをぜ〜んぶ「長持ち系」で揃えるお金も時間もありません。かといってぜ〜んぶ「使い捨て系」でも味気ない。

ということで、長持ちするものを買うときは、その瞬間支払う「価格」と、購入してから発生する「手間」の両面から、身の丈に合ったものを選ぶよう努める、という結論に至りました。それでずいぶんと失敗も減ったのですが……。

最近、扱いを失敗してダメにした一生もの(だと思って買ったもの)があります…(凹)

右の山形鋳物の急須。中のホーローのコーティングにヒビを入れてしまったようで、繊細な緑茶を飲むと味がなんとなく「鉄」っぽい……。

作った人に相談したのだけれど、ホーローを後からコーティングし直すことはできないとのこと……(ル・クルーゼの鍋なんかと一緒なのね)。

大切に扱っていたのに、やっぱりまだまだ未熟なわたし。精進します(涙)

ちなみに、現在この急須はほぼ使っていないのに↑どうしても捨てられず、保管しています(←一生ものの「その後」あるある…滝汗)。

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